社内ネットワークの基礎知識、構築の手順
今回は、社内ネットワークの基礎知識と構築の手順についてご紹介します。社内ネットワークとは、企業や組織内で使用されるコンピュータや機器を相互に接続するネットワークのことです。社内ネットワークを構築することで、データの共有や通信の効率化、セキュリティの強化など、様々なメリットが得られます。しかし、社内ネットワークを構築するには、基礎的な知識や設計のポイントを把握する必要があります。そこで、この記事では、社内ネットワークの種類や特徴、構築と設計の流れ、必要な機器やソフトウェアなどを解説します。社内ネットワークに興味がある方や、これから構築を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
社内ネットワークとは
社内ネットワークとは、一つの組織や企業内で利用されるコンピュータや機器を相互に接続するネットワークのことを指します。企業が円滑に業務を遂行するためには、情報共有の迅速化、業務の効率化、セキュリティの強化が求められますが、それらを実現するために不可欠なのが社内ネットワークです。
社内ネットワークの導入により、社内のコンピュータ同士でデータを共有できるだけでなく、メールやビデオ会議、業務アプリケーションの利用、クラウドサービスへのアクセスなど、多様なビジネスツールの活用が可能になります。また、ネットワークを適切に管理することで、セキュリティリスクを軽減し、データの保護や業務の安定性を確保できます。
社内ネットワークは、企業の規模や業務内容によって異なる構成を取りますが、基本的な設計を理解し、適切に構築・運用することが、企業の生産性向上につながるのです。
社内ネットワーク構築の基礎
社内ネットワークを構築するには、ネットワークの規模や目的、予算、セキュリティ要件などを考慮し、適切な機器やソフトウェアを選定する必要があります。ネットワークの構成によっては、シンプルなものから複雑なものまでさまざまな設計が可能ですが、基本的に以下の要素が必要になります。
ルーター
ルーターは、インターネットと社内ネットワークを接続する装置であり、ネットワークの中心的な役割を果たします。主な機能として以下が挙げられます。
- インターネット接続の管理:社内の各コンピュータやデバイスがインターネットを利用できるようにする。
- 外部からの不正アクセス防止(ファイアウォール機能):社内ネットワークを外部の脅威から保護する。
- VPN(仮想プライベートネットワーク)機能:リモートワークや拠点間接続を安全に行うための暗号化通信を提供。
企業の規模によっては、家庭用ルーターでは対応しきれないため、業務用の高性能なルーターを導入する必要があります。大規模な企業では、冗長性を確保するために複数のルーターを設置し、通信の負荷分散や障害対策を行うケースもあります。
スイッチ
スイッチ(スイッチングハブ)は、社内ネットワーク内のコンピュータや機器を接続し、データの送受信を制御する装置です。ネットワーク内の通信を最適化し、適切なデバイスにデータを転送する役割を担います。
スイッチの種類には、大きく分けて以下の2種類があります。
- アンマネージドスイッチ:基本的なネットワーク接続を提供し、設定不要で簡単に利用可能。
- マネージドスイッチ:VLAN(仮想LAN)やトラフィック管理など高度な設定が可能で、企業ネットワーク向け。
企業ネットワークでは、通信速度の向上や負荷分散のためにギガビット(GbE)や10ギガビット(10GbE)対応のスイッチを選択することが推奨されます。
サーバー
サーバーは、社内ネットワーク内で共有されるデータやアプリケーションを管理するコンピュータです。企業の業務において、以下のような役割を果たします。
- ファイルサーバー:社内の文書やデータを一元管理し、アクセス権を制御する。
- メールサーバー:社内のメールシステムを管理し、メールの送受信を最適化。
- アプリケーションサーバー:業務アプリケーションをホスティングし、複数のユーザーが利用できるようにする。
- データベースサーバー:社内の顧客データや業務情報を保管・管理する。
- 認証サーバー:社内ネットワークへのアクセス制御を行い、セキュリティを強化。
オンプレミス(社内設置)型のサーバーだけでなく、クラウドサーバー(AWS、Azure、Google Cloudなど)を利用することで、メンテナンスの負担を軽減し、スケーラビリティを向上させることも可能です。
ケーブル
社内ネットワークを構築する際には、デバイス同士を物理的に接続するためのケーブルが必要です。主に以下の種類があります。
- LANケーブル(有線接続):安定した通信速度を確保するために利用。
- 光ファイバーケーブル:大規模なネットワーク環境で高速なデータ転送を実現。
- Wi-Fi(無線接続):オフィス内での自由な移動やリモートワーク環境を支援。
近年では、Wi-Fi 6やメッシュネットワークを導入し、無線接続でも高速かつ安定した通信を確保する企業も増えています。
OSやアプリケーション
ネットワーク環境で動作するコンピュータやサーバーには、適切なオペレーティングシステム(OS)と業務アプリケーションをインストールする必要があります。
- OSの選定
- Windows Server、Linux、macOSなど、企業の業務環境に適したOSを導入。
- サーバー向けOSには、安定性やセキュリティ強化のための専用機能が備わっている。
- 業務アプリケーション
- メールサーバー、ファイル共有システム(NAS)、ビデオ会議システムなど、業務に必要なソフトウェアを導入。
- Microsoft 365やGoogle Workspaceなどのクラウドアプリケーションを活用することで、柔軟なワークスタイルを実現。
クラウドベースのソリューションを活用することで、従業員がどこからでもアクセス可能な環境を整えることができ、リモートワークやハイブリッドワークの推進にも貢献します。
社内ネットワークの種類(規格)
社内ネットワークにはさまざまな規格があり、企業の規模や目的、業務の内容に応じて適切なネットワーク構成を選択することが重要です。ネットワークの規格を正しく理解し、適切に活用することで、業務の効率化、セキュリティ強化、通信の最適化を実現できます。以下では、代表的な社内ネットワークの規格について詳しく解説します。
1. LAN(Local Area Network)
LAN(ローカルエリアネットワーク)は、オフィス、ビル、学校、工場などの比較的狭い範囲をカバーするネットワークです。一般的に、企業内のコンピュータやプリンター、サーバーなどを接続し、情報共有やリソースの共同利用を可能にします。
特徴
- 高速な通信が可能:ギガビットイーサネット(1Gbps)や10ギガビットイーサネット(10Gbps)などの高速通信が主流。
- 安定性が高い:物理的な配線があるため、通信が安定し、干渉を受けにくい。
- コスト効率が良い:インターネットと比較して、ランニングコストが低く抑えられる。
用途
アプリケーションの一括管理:ERPやCRMなどの業務システムを社内で一元管理。
ファイル共有:社内の文書やデータを一元管理し、複数のユーザーがアクセス可能。
プリンターやスキャナーの共有:複数の従業員が同じデバイスを利用可能。
2. WLAN(Wireless LAN)
WLAN(ワイヤレスLAN)は、LANを無線化したネットワークであり、オフィスや施設内でWi-Fiを活用する際に利用されます。近年では、テレワークやモバイルワークの普及に伴い、無線ネットワークの重要性が増しています。
特徴
- ケーブル不要で柔軟なネットワーク構築が可能:デスクや部屋のレイアウトに影響を受けず、自由な移動が可能。
- 拡張性が高い:新しいデバイスの追加が容易。
- 通信速度の向上:Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)では最大9.6Gbpsの高速通信が可能。
注意点
- 電波干渉の影響:Bluetoothや他のWi-Fiネットワークとの干渉により、通信速度が低下する可能性がある。
- セキュリティ対策が必要:不正アクセスや盗聴を防ぐために、WPA3などの最新の暗号化技術を利用することが推奨される。
用途
ゲスト用ネットワークの構築:外部訪問者向けのWi-Fiを提供し、社内ネットワークと分離することでセキュリティを確保。
モバイルワーク環境の整備:社内のどこからでもインターネットや社内ネットワークに接続可能。
会議室や共有スペースでの活用:一時的なネットワーク接続が必要な場合に便利。
3. VLAN(Virtual LAN)
VLAN(仮想LAN)は、物理的なネットワーク構成にとらわれず、ソフトウェア的にネットワークを分割する技術です。通常、1つの物理的なネットワークに接続されているデバイス同士はすべて通信可能ですが、VLANを利用すると、異なる部門やグループごとにネットワークを分けてセキュリティを強化できます。
特徴
- ネットワークの論理的な分離が可能:部署ごとに通信を分けることで、セキュリティと管理性を向上。
- トラフィックの管理が容易:ネットワークの混雑を防ぎ、通信の最適化が可能。
- セキュリティの強化:異なるVLAN間での通信を制限し、不正アクセスを防止。
用途
IoT機器のネットワーク管理:監視カメラやスマートデバイスを専用のVLANに分離し、セキュリティを強化。
部署ごとのネットワーク分離:営業部と開発部で異なるネットワークを構築し、情報漏洩リスクを軽減。
ゲストネットワークの分離:社内のネットワークと訪問者用のネットワークを分けることで、内部システムのセキュリティを確保。
4. WAN(Wide Area Network)
WAN(広域ネットワーク)は、地理的に離れた拠点(本社・支社・工場など)を接続するネットワークです。インターネットVPNや専用線を利用して、拠点間で安全な通信を実現します。
特徴
- 広範囲のネットワーク接続が可能:国内・海外の拠点間通信を実現。
- VPN(仮想プライベートネットワーク)による安全な通信:インターネット経由でのデータ送受信を暗号化。
- 専用線の利用で安定した通信:インターネットではなく専用の回線を使用することで、より安定した通信を確保。
用途
Web会議やリモートワークの支援:音声や映像データを安定して送受信可能。
企業の支社や海外拠点との接続:リモートオフィスでも本社と同じ業務環境を提供。
クラウドサービスへのアクセス最適化:クラウド環境へのセキュアな接続を確保。
5. SD-WAN(Software-Defined WAN)
SD-WANは、従来のWANの課題を解決するために登場したソフトウェア定義型ネットワークで、クラウドサービスとの接続最適化や、拠点間通信の効率化を図る技術です。
特徴
- クラウド対応に最適:クラウドサービスとの通信を最適化し、低遅延を実現。
- コスト削減:専用線を使わずに、インターネット回線を有効活用して安価に拠点間通信を実現。
- セキュリティ機能の向上:データ暗号化やファイアウォール機能を組み込み、安全な通信を確保。
用途
- 複数拠点を持つ企業のネットワーク最適化。
- クラウドベースの業務システムを導入する企業。
- インターネットを活用した安全なリモートワーク環境の構築。
社内ネットワーク構築と設計
社内ネットワークを構築する際には、計画的な設計と適切な機器の選定が不可欠です。適切な設計を行うことで、業務の効率化、セキュリティの強化、運用のスムーズさを実現できます。ネットワークの構築は単に機器を接続するだけではなく、トラフィック管理、IPアドレスの割り当て、セキュリティ対策、将来的な拡張性なども考慮する必要があります。
ネットワークのトポロジー
ネットワークのトポロジーとは、ネットワーク機器やケーブルをどのように接続するかを決める設計図です。適切なトポロジーを選択することで、通信の効率や耐障害性を向上させることができます。
主なネットワークトポロジー
- スター型トポロジー(Star Topology)
- 特徴:すべてのデバイスが中央のスイッチやルーターに接続される。
- メリット:1台の機器が故障しても他の通信に影響しにくい。管理が容易。
- デメリット:中央のスイッチが故障するとネットワーク全体がダウンする。
- バス型トポロジー(Bus Topology)
- 特徴:1本の通信ケーブル(バス)を通じて複数のデバイスが接続される。
- メリット:配線がシンプルで、導入コストが低い。
- デメリット:1つのケーブルが断線すると、ネットワーク全体に影響が出る。
- リング型トポロジー(Ring Topology)
- 特徴:デバイスがリング状に接続され、データが一方向または双方向に流れる。
- メリット:データの衝突が少なく、安定した通信が可能。
- デメリット:1つの機器が故障するとネットワーク全体に影響を与える。
- メッシュ型トポロジー(Mesh Topology)
- 特徴:すべてのデバイスが相互に接続されている。
- メリット:耐障害性が高く、複数の通信経路が確保される。
- デメリット:構築コストが高く、管理が複雑になる。
適切なトポロジーの選定
企業のネットワーク環境では、スター型が最も一般的に採用されますが、大規模ネットワークではメッシュ型やハイブリッド型(複数のトポロジーを組み合わせたもの)も活用されます。ネットワークの規模や目的に応じて、最適なトポロジーを選択しましょう。
IPアドレス設計
IPアドレス設計は、社内ネットワーク内の各機器に適切なIPアドレスを割り当て、通信をスムーズに行うための設計です。IPアドレスは、インターネット上や社内ネットワーク内で機器を識別する番号であり、適切に管理することで通信トラブルを防ぐことができます。
IPアドレスの種類
- IPv4アドレス
- 一般的に「192.168.1.1」のような形式で表記される。
- プライベートIPアドレス(社内ネットワーク用)とグローバルIPアドレス(インターネット用)がある。
- サブネットマスクを設定して、ネットワークを分割する。
- IPv6アドレス
- 「2001:db8::1」のような形式で表記される。
- アドレス空間が広く、将来的なIP枯渇問題を解決できる。
- 最新のネットワーク環境では、IPv6の導入も進んでいる。
IPアドレスの割り当て方法
- 固定IPアドレス:サーバーやプリンターなど、特定の機器に固定的に割り当てる。
- 動的IPアドレス(DHCP):社内のPCやスマートフォンなどに対して自動的にIPアドレスを割り当てる。
IPアドレス設計のポイント
VLANと組み合わせる:部署ごとに異なるIPレンジを割り当て、ネットワークの管理を容易にする。
サブネット化の活用:大規模ネットワークでは、サブネットマスクを使ってトラフィックを分割し、通信の効率を向上させる。
セキュリティ設計
社内ネットワークの安全性を確保するためには、ファイアウォール、VPN、アクセス制御、エンドポイントセキュリティなど、複数のレイヤーでセキュリティ対策を講じることが重要です。
主要なセキュリティ対策
不審なアクセスやサイバー攻撃の兆候を検出するために、SIEM(Security Information and Event Management)を活用し、リアルタイムでログを分析。
ファイアウォールの導入
- 外部からの不正アクセスを遮断するためのセキュリティ機器。
- ハードウェアファイアウォールとソフトウェアファイアウォールがある。
- アクセスルールを設定し、不要な通信をブロック。
VPN(仮想プライベートネットワーク)
- インターネット経由で安全なリモート接続を実現する技術。
- 社内ネットワークに外部からアクセスする場合、データを暗号化してセキュリティを確保。
アクセス制御(ACL)
- 社内ネットワークへのアクセスをユーザーやデバイスごとに制限し、機密情報への不正アクセスを防ぐ。
- 認証機能(多要素認証など)を導入することで、より強固なセキュリティを実現。
エンドポイントセキュリティ
- 各デバイス(PC、スマートフォンなど)にウイルス対策ソフトやEDR(Endpoint Detection and Response)を導入し、マルウェア感染を防ぐ。
ログ管理と監視システム
不審なアクセスやサイバー攻撃の兆候を検出するために、SIEM(Security Information and Event Management)を活用し、リアルタイムでログを分析。
社内ネットワーク構築に必要なもの
社内ネットワークを構築するためには、適切な計画を立て、必要な機器やソフトウェアを準備し、適切に運用・管理することが重要です。ネットワークの安定性、拡張性、セキュリティを確保するために、慎重に構築プロセスを進める必要があります。
以下では、社内ネットワーク構築のために必要な項目について詳しく解説します。
機器やソフトウェアの購入
ネットワーク構築には、ハードウェアとソフトウェアの両方が必要です。ネットワークの設計図を作成した上で、必要な機器をリストアップし、最適な製品を選定することが大切です。
必要なネットワーク機器
RAID機能付きのモデルを選定すると、データの冗長性が確保できる。
ルーター
社内ネットワークをインターネットに接続するための装置。
ファイアウォール機能を持つ高性能な業務用ルーターを選定することで、セキュリティを強化できる。
VPN機能を搭載したモデルを使用すると、リモートワーク環境も構築しやすい。
スイッチ(ハブ)
社内のPCやサーバーを接続し、データ通信を最適化する装置。
ギガビット(1Gbps)や10ギガビット(10Gbps)対応のスイッチを選定すると、高速通信が可能。
サーバー
社内のデータ共有やアプリケーションのホスティングを行う。
ファイルサーバー、メールサーバー、認証サーバーなど、用途に応じて選定。
クラウドサーバー(AWS、Azure、Google Cloud)を活用することで、管理負担を軽減することも可能。
ワイヤレスアクセスポイント(Wi-Fi)
無線LAN環境を提供し、社内のどこからでもインターネットに接続可能にする。
Wi-Fi 6対応モデルを選択すると、高速・安定した通信が確保できる。
ファイアウォール
外部からの不正アクセスを防ぎ、社内ネットワークを守る。
UTM(統合脅威管理)機能を搭載したモデルを選定すると、ウイルス対策や不正侵入防止も同時に実施可能。
ネットワークストレージ(NAS)
社内のデータを一元管理し、バックアップの効率化を図る。
機器の設置や配線
機器を適切な場所に設置し、ネットワーク全体の安定性を確保するための配線作業を行います。
適切な配線を行うことで、通信トラブルを防ぎ、メンテナンスのしやすい環境を構築できます。
設置のポイント
- ルーターやスイッチの設置場所
- ネットワークの中心となるため、サーバールームやネットワークキャビネットに設置する。
- 熱がこもらないよう、十分な換気を確保する。
- サーバーの設置
- 耐震性・防火対策が施された専用ラックに収納する。
- 停電対策として、UPS(無停電電源装置)を導入し、電源の安定性を確保する。
- Wi-Fiアクセスポイントの設置
- オフィス全体に電波が均一に届くよう、適切な間隔で配置する。
- 必要に応じて、メッシュWi-Fiの導入を検討。
配線のポイント
高速かつ長距離の通信が必要な場合、光ファイバーを導入。
有線LANの配線
ギガビット対応のCat6/Cat6aケーブルを使用し、高速通信を確保。
配線を整理するために、ケーブルマネジメントツールを活用。
光ファイバーの敷設(大規模ネットワーク向け)
機器の設定やテスト
機器を設置した後は、適切な設定を行い、ネットワークが正常に動作するかをテストする必要があります。
設定内容
- IPアドレスの設定
- 固定IPと動的IP(DHCP)の割り当てを計画し、適切に設定。
- セキュリティ設定
- ファイアウォールのルールを設定し、不正アクセスを防止。
- Wi-FiのSSIDとパスワードを設定し、認証強化(WPA3など)。
- ネットワーク監視設定
- SNMP(Simple Network Management Protocol)を設定し、ネットワーク機器の状態をリアルタイムで監視。
- 冗長性の確保
- ネットワークの二重化(デュアルWAN、冗長ルート)を設定し、障害時に迅速に対応可能な設計にする。
テスト項目
社内システム(ファイル共有、メールサーバー)の動作確認
各機器が正常に通信できるか(PINGテスト)
インターネット接続の速度と安定性
セキュリティ対策の有効性(不正アクセスのブロック確認)
ネットワークの運用や管理
ネットワークは構築した後も、定期的な監視と保守が必要です。適切な管理を行うことで、障害のリスクを最小限に抑え、安定した業務環境を維持できます。
運用管理のポイント
ネットワークの監視
- 監視ツールを活用し、リアルタイムでトラフィックを監視。
- 例:Zabbix、Nagios、PRTG Network Monitor
定期的なバックアップ
- 重要なデータや設定ファイルを定期的にバックアップ。
- クラウドバックアップサービス(AWS Backup、Veeamなど)を活用。
ファームウェア・ソフトウェアの更新
- ルーター、スイッチ、ファイアウォールのファームウェアを最新の状態に保つ。
- OSやセキュリティパッチを適用し、脆弱性対策を実施。
障害対応
- 万が一のトラブルに備え、障害対応マニュアルを作成し、迅速な復旧ができるように準備。
本社と拠点(支社)を接続するWAN
企業の本社と支社を接続するために、WANは重要な役割を果たします。主な接続方法は以下の通りです。
1. インターネットVPN
インターネットVPNは、インターネットを介して安全な通信を確立する方法です。コスト効率が高く、柔軟に拠点を接続できますが、インターネット回線の品質に依存します。
2. 専用線
専用線は、特定の企業が専用で利用する通信回線です。高いセキュリティと安定した通信速度が特徴ですが、コストが高くなります。
3. SD-WAN
SD-WAN(Software-Defined WAN)は、ソフトウェアでネットワークを最適化する技術です。複数の接続回線を効率的に利用し、コスト削減とパフォーマンス向上を実現します。
企業におけるネットワークの課題とその対策
企業ネットワークには多くの課題が存在しますが、適切な対策を講じることで解決できます。
1. セキュリティリスク
ネットワークは常にサイバー攻撃のリスクにさらされています。ファイアウォールの設置、暗号化通信、アクセス制御などのセキュリティ対策を徹底することが重要です。
2. ネットワークの遅延
ネットワークの遅延は業務効率に影響を与えます。帯域幅の拡張、トラフィックの最適化、ネットワーク機器の性能向上などで対応します。
3. 運用コストの増加
ネットワークの運用コストが増加することがあります。効率的なネットワーク管理ツールの導入や、クラウドサービスの活用でコスト削減を図ります。
4. 可用性の確保
ネットワークの可用性を確保するためには、冗長構成やバックアップシステムの導入が必要です。障害発生時の迅速な復旧体制も整備します。
ネットワーク構築を見直す時に注意すべき点
ネットワーク構築を見直す際には、以下の点に注意することが重要です。
1. 現状分析
まず、現在のネットワーク環境を詳細に分析します。問題点や改善点を明確にし、再構築の方針を決定します。
2. 将来の拡張性
ネットワークの再構築時には、将来の拡張性を考慮することが重要です。スケーラブルな設計を行い、将来的なニーズに対応できるようにします。
3. セキュリティ対策
セキュリティ対策は最優先事項です。最新のセキュリティ技術を導入し、定期的な監査と改善を行います。
4. コスト管理
コスト管理も重要な要素です。初期投資と運用コストのバランスを考慮し、最適なソリューションを選定します。
社内ネットワーク構築のステップ
社内ネットワークの構築は以下のステップで行います。
1. 要件定義
ネットワークの目的と必要な機能を明確に定義します。業務要件、セキュリティ要件、性能要件などを洗い出します。
2. 設計
要件に基づいてネットワークの設計を行います。トポロジー設計、機器選定、セキュリティ設計などを含みます。
3. 機器調達
設計に基づいて、必要なネットワーク機器を調達します。性能や信頼性を考慮して選定します。
4. 構築・設定
ネットワーク機器を設置し、設定を行います。ルーターやスイッチの設定、VLANの構成、セキュリティ設定などを行います。
5. テスト
構築後に、ネットワークの動作確認とテストを行います。性能テスト、セキュリティテスト、接続テストなどを実施します。
6. 運用・保守
ネットワークの運用と保守を開始します。定期的なメンテナンスと監視を行い、問題発生時には迅速に対応します。
まとめ
社内ネットワークとは、一つの組織や企業内で利用されるネットワークのことで、業務効率や安全性を高めることができます。社内ネットワークを構築するには、まず、必要な機器やソフトウェアを選定し、設計図を作成します。次に、機器を設置し、設定やテストを行います。最後に、ネットワークの運用や管理を行います。社内ネットワークは、組織や企業の成長に欠かせないインフラです。
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神奈川県 許可番号 01400119879号
■取得認証
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情報処理支援機関「スマートSMEサポーター」(認定番号 第16号-21100052(18))
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