ネットワークの冗長化の種類や方法

ネットワークの冗長化とは、ネットワークに障害が発生したときに、別の経路や機器に切り替えて通信を継続できるようにすることです。ネットワークの冗長化には、さまざまな種類や方法があります。この記事では、代表的な冗長化の種類と対象、レイヤー別にネットワークを冗長化する方法について解説します。

冗長化の種類

冗長化の種類には、主に以下の3つがあります。

アクティブ・スタンバイ

アクティブ・スタンバイとは、一方の機器が稼働している間、もう一方の機器が待機している状態です。障害が発生したら、待機していた機器が自動的に切り替わって通信を引き継ぎます。アクティブ・スタンバイには、以下の2つのパターンがあります。

ホットスタンバイ

ホットスタンバイとは、待機している機器も起動しており、随時データを同期している状態です。障害が発生したら、すぐに切り替えが可能で、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。しかし、待機している機器も電力やリソースを消費するため、コストや管理負荷が高くなります。

コールドスタンバイ

コールドスタンバイとは、待機している機器は停止しており、障害が発生したら起動してデータを復元する状態です。障害が発生しない限り、待機している機器は電力やリソースを消費しないため、コストや管理負荷を低く抑えることができます。しかし、切り替えに時間がかかり、ダウンタイムが長くなる可能性があります。

アクティブ・アクティブ

アクティブ・アクティブとは、両方の機器が同時に稼働しており、負荷分散や高速化などの効果を得られる状態です。障害が発生したら、残った機器が全体の通信を担います。アクティブ・アクティブでは、両方の機器が常にデータを同期しておく必要があります。また、両方の機器が十分な性能や容量を持っていることも重要です。

マスター・スレーブ

マスター・スレーブとは、一方の機器が主役であり、もう一方の機器は補助的な役割を果たす状態です。マスター・スレーブでは、主役と補助的な役割を入れ替えることもできます。マスター・スレーブでは、主役と補助的な役割の間でデータの整合性を保つ必要があります。また、主役と補助的な役割の機能や設定が異なる場合もあります。

冗長化の対象になりやすいシステム3つ

ネットワークの冗長化において、特に重要なシステムとして以下の3つが挙げられます。

サーバー

サーバーは、ネットワーク上でさまざまなサービスやアプリケーションを提供する機器です。サーバーに障害が発生すると、そのサービスやアプリケーションが利用できなくなる可能性があります。サーバーの冗長化では、アクティブ・スタンバイやアクティブ・アクティブなどの方式を用いて、別のサーバーに切り替えることで通信を継続します。また、クラスタリングやロードバランシングなどの技術も利用されます。

ストレージ

ストレージは、ネットワーク上でデータを保存する機器です。ストレージに障害が発生すると、データの損失や破損が発生する可能性があります。ストレージの冗長化では、RAIDやNASなどの技術を用いて、複数のディスクや機器にデータを分散して保存します。また、バックアップやレプリケーションなどの手段も利用されます。

ネットワーク

ネットワークは、ネットワーク上でデータを伝送する経路や機器です。ネットワークに障害が発生すると、データの遅延や断絶が発生する可能性があります。ネットワークの冗長化では、複数の経路や機器を用意しておき、障害が発生したら別の経路や機器に切り替えることで通信を継続します。また、ルーティングやスイッチングなどの技術も利用されます。

レイヤー別にネットワークを冗長化する方法

ネットワークは、OSI参照モデルという7層からなる階層構造で表されます。このうち、物理層からトランスポート層までの4層は、通信の基本的な機能を担っています。以下では、それぞれの層でどのようにネットワークを冗長化するかについて説明します。

物理層

物理層は、ネットワーク機器や端末を物理的に接続するレイヤーです。物理層の冗長化は、ケーブルやポートなどの物理的な要素を複数用意することで行います。例えば、同じ機器や端末を異なるケーブルやポートで接続することで、一方が切断されてももう一方で通信が継続できるようにします。

データリンク層

データリンク層は、物理層で接続された機器や端末間でフレームを転送するレイヤーです。データリンク層の冗長化は、スイッチやブリッジなどのデータリンク層の機器を複数用意することで行います。例えば、同じセグメントに属する複数のスイッチを設置し、スパニングツリープロトコルやリンクアグリゲーションプロトコルを利用して切り替えることで、一方が故障してももう一方で通信が継続できるようにします。

ネットワーク層

ネットワーク層は、異なるネットワーク間でパケットを転送するレイヤーです。ネットワーク層の冗長化は、ルーターやファイアウォールなどのネットワーク層の機器を複数用意することで行います。例えば、同じ経路を持つ複数のルーターを設置し、ルーティングプロトコルやフェイルオーバー機能を利用して切り替えることで、一方が故障してももう一方で通信が継続できるようにします。

トランスポート層

トランスポート層は、エンド・ツー・エンドの通信を管理するレイヤーです。トランスポート層の冗長化は、サーバーやアプリケーションなどのトランスポート層の機器やソフトウェアを複数用意することで行います。例えば、同じ機能を持つ複数のサーバーを設置し、ロードバランサーやクラスタリングソフトウェアを利用して切り替えることで、一方が故障してももう一方で通信が継続できるようにします。

まとめ

この記事では、ネットワークの冗長化の種類や方法について見てきました。冗長化は、ネットワークにおける可用性や信頼性を高めるために重要な手法です。しかし、冗長化にもコストや管理負荷などのデメリットがあります。そのため、必要なレベルや範囲に応じて適切な冗長化方法を選択することが重要です。

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